詩 「ハチミツ」

ー都会で一度甘いハチミツを舐めると

鋭利な幸福感が舌に絡みついて口が開かなくなる人がいるから、気を付けなさいー

 

ヘッドホン越しに、その黄金色に滴る糖度と副作用を耳打ちされる

私は首に巻きついて刺さりっぱなしの、ジンジャーエール色の夜風を丁重に解きながら

尖った喉の痛みを騙し騙し駅まで歩く

ヒリヒリする唾を飲み込むたび、お花の付いたヒールも油断して銀色の渓谷につまずく

ヘッドホンをぴったりと耳に当て、ずっとその声の続きを待っているのは私の機能だけではないのだ

シートの窪んだ藍色だけを凝縮し動き出す車窓越し、舌先がシュワシュワと微発泡し続けるカーブで、透けそうな私の呼吸にひと粒、今日のノンシュガー飴をやる

 

「お出口は右側、右側です」

がじ、がじ、噛み砕くように一斉にプラットホームを降りていく

ジャケットに忍ばせた両手の、明日ぶんの飴を探し当てる間もなく

改札口へと空芯のターンで滑っていく踵が先週の健康診断の結果を思い出す

備考欄に細胞壁が見つかったと書いてあったんです、指示に従い退化させないようにと

そんな甘い話...

ーこれから朝晩二回、踵を揃えて自分の足に水をあげ続けたら今いる場所で咲けますー

 

定期入れの内側に隠し持っていた分光器で

東口のチカチカするネオンや雑踏を切り裂く

何も発光しない、タッチペンでぐるぐると黒く塗り潰した今日の夜空に、つま先に力を込めて

喉の奥にしまっておいたハチミツ色した三角刀でぐるり、都会の空をまあるく彫る

「ほら、満月が浮かんだよ」

 

(2013.3 詩と思想投稿欄)

毎日歌壇 2018/04/02

友達になる前たがいにスマホ出し連絡先を交換している

(中之島潤)

 

毎日新聞・毎日歌壇 2018/04/02

伊藤一彦氏選

 

掲載して頂きうれしいです、ありがとうございます。

くまクッキー

先日、スイス旅行に行かれた方のお土産でクマのクッキーを頂いたのですが、そのクマがあまりにかわいかったのでスマホで撮ってみました。

 


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そう、フォルムが直立なのです...!!

 


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世の中アニマル型のクッキーは数多く存在しますが、こちら横向きでも自立可なフィナンシェ並の厚みがかわいくて、未だ割る、噛じるが出来ずにいます。

 

最初頂いたとき、てっきりクマ=ベルリンのお土産かと思ったのですが(ドイツにも立ち寄られたと聞いていたので)、よく見るとfrom BERNのクマでした(笑)

 

子供のころ憧れだった国が、再放送のハイジ効果でスイスでした...ただただアルムでの山暮らしをピンポイントに夢を抱いておりました^^;

 

海外にはかれこれ長く行ってないjunjunです、パスポートもキレッキレです...。

 

近年一番旅してみたいと思うのはモスクワですが、折角行くなら少しでもロシア語の基礎知識がある方が楽しいだろうなぁと思いつつ

 

その第一歩として、去年ロシアゴスキーのテキストを買ってみたのですが...ふぅ(汗)

 

(ロシアゴスキー、番組自体は私のような全くのビギナーでも楽しくロシア語、ロシア文化に触れられる有り難い構成でした←モスクワが舞台だったこともあり、一応毎週録画してました)

 

...が、まだまだパスポート更新に行く予定は先のようです。

 

 

 

 

 

 

詩 「笠山椿群生林にて」

「笠山椿群生林にて」

 

吹っ切れたのとは違う

あなた達がいたことを

もう忘れようとするのとも違う

 

こんなに《別れ》がつらいなら

体ごと音を立て地面に落下する椿は

さいごに何を思う

まだワッと泣き出しそうなほど

鮮やかな花弁脈を纏ったまま

赤く透けそうな心で

自ら縛り上げた屍を仰向けに浸し

さいごに何を思って

この冷えた萩の海に流れ出ていくのだろうか

 

 ーわたしだったら

  こんなに《別れ》がつらいなら

  人生で何度もこんな《別れ》はいやだよ

 

まだ幼かった日のわたしが

椿群生林の片隅で

小さな手を真っ赤にし樹皮を剥がしては

凍てつく椿の幹に何度も息を吹きかけている

 

ーカサ、という足音が聞こえ

幹から唇を離しこちらを振り返る

潮風に身をかがめ

ひとり林の中を歩くわたしを

膝の土を払いもせず

上目でただじっと見つめている

 

 ーじぶんがつくるかぞくはすくないほうがいいよ

 

 

*笠山椿群生林

 山口県萩市笠山にある、約二万五千本のヤブ椿が花を咲かせる群生林。毎年二月下旬〜三月下旬に見頃を迎える。

 

(2016.6 詩と思想投稿欄)

 

 

#笠山椿群生林には私がまだ詩作を始める前に一度だけ行ったことがあるのですが、「息をのむ」とはこういう情景を言うのかと、群生林を覆う椿の赤、ざわめき...林の中を歩きながら、ただただ言葉にならないその迫力に圧倒され、離れがたい景色でした。

 

笠山に行かれたことのない皆さんにもその見事さをお伝え出来ればと思い、こちらが見頃時の椿群生林です。

(写真は萩市観光協会様よりお借り致しました、ありがとうございます)

 


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毎日歌壇 2018/01/16

年賀状でだけやり取りある友の「今年もヨロシク」それがうれしい

中之島潤)

 

毎日新聞・毎日歌壇 2018/01/16

伊藤一彦氏選

 

https://mainichi.jp/articles/20180116/ddm/014/040/034000c

 

伊藤氏に初投稿した歌で初の特選をいただきました。うれしいです、ありがとうございます...!